今回、シティポップの名曲として取り上げたいのが、中山美穂の「Midnight Taxi」(1990年1月発売)です。中山美穂と言えば、シティポップ界の雄・角松敏生のプロデュース作品も有名ですが、この楽曲に関しては、飛鳥涼が作詞・作曲を担当しています。
しかしながら、ASKA(飛鳥涼)及びCHAGE and ASKAの楽曲群が、シティポップの文脈で取り上げられていることを目にしたことがありません。というより、何らかのジャンルにカテゴライズされたり、音楽的な位置付けをされたりしているのをあまり、見かけたことがありません。それは、作風の変化に起因しているのかも知れませんし、あるいは、あまりにも売れすぎたため、大衆音楽として認知されたことで、そこに内包された音楽性についてまで、未だ分析や評価が及んでいないのかもしれません。
そんな飛鳥涼により手掛けられたこの曲は、いわゆるハチロク(6/8拍子)のリズムに、流麗なコード進行を携えたメロディラインの美しい、都会の男女の風景を描いた逸品で、中山美穂10代最後の作品として、戦略的に制作されたと思われる、決してアイドル歌謡の範疇には収まらない、まさに、シティポップの名曲です。(そして、この曲は、シティポップの名曲のもはや基準とも言える「発売当時は、評価が低い(=売れていない)」という共通項も満たしております。)
そして、飛鳥涼の手がけた一作品として、この曲を評するならば、もはや、カテゴリーの枠を超えた、普遍的な名曲という色合いが濃く感じられ、私自身のASKAに対する評価も、結局は、カテゴライズ不能であり、そして、間違うことなく、飛鳥涼という一つのジャンルを築いた才能に溢れた音楽家であるという結論に至らざるを得ませんでした。
追伸 この度の中山美穂さんの訃報に接し、深く哀悼の意を表します。12月10日 ブログ筆者
コメント