1993年に発表されたこの曲の作詞・作曲者は、「呉田軽穂」つまりユーミン(松任谷由実)であり、それだけで、この曲をシティポップとして、定義付けるわけではありませんが、随所にみられる転調の妙や裏拍の取り方などは、まさにユーミン語法と呼べるものでしょう。
この曲のアレンジに関しては、前作が、小室哲哉作詞曲の80年代小室サウンドの集大成的総花的傑作曲で、大ヒットとなった「TOO SHY SHY BOY!」であったため、おそらく商業的スタンスの意味も含めて、この路線を引き継いだ、音圧が強めな90年代的クリアな音色のシンセベースとシンセドラムを基調とした8ビートの軽快なテイストに仕立てられています。
このアレンジが、例えば、ユーミンのデジタルサウンド黎明期の傑作アルバム「ダイヤモンドダストが消えぬまに」の「SATURDAY NIGHT ZOMBIES」のような音の空間にもう少し余白があり、かつ跳ねるビートであれば、大いにシティポップ寄りになったように思われます。がしかし、この曲のアレンジャーは天才「大村雅朗」であり、音色選びや音数など、観月ありさという美少女アイコン歌手とユーミンの作詞曲の組み合わせに対する解として、その当時の時代背景や気分も加味しながら、もともと持っている曲のキャッチーさと相まって、無駄も過剰も無い完成度の高い爽快なアレンジを産み出しています。
もし、この曲をリアレンジするなら、大村雅朗以外には、おそらくいないだろうと思われますが、周知のとおり、早逝しているために、それが叶わないことは、極めて残念でなりません。
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