80年代を通じて、女性アイドルの双璧と言えば、まごうことなく松田聖子と中森明菜です。そして、80年代後半には、南野陽子、中山美穂、工藤静香、浅香唯がアイドル四天王と呼ばれていました。しかし、ほぼ同時期に、そのようなビッグネームとして、括られることはありませんでしたが、彼女たちに劣ることのない実力と人気があったのが荻野目洋子です。抜群の歌唱力はもちろん、ダンスパフォーマンスに関しても、アイドル的振付表現を脱却していたことは、昨今の「ダンシング・ヒーロー」のリバイバルヒットによる彼女自身によるパフォーマンスで、再認識させられたのではと思われます。
実績面では、今回紹介する楽曲のこの「D2D」が収録されたアルバム「ノン・ストッパー」は1987年の年間チャート1位(発売は1986年の12月)を獲得しています。このアルバムが大ヒットしたのは、ヒットシングル(ダンシング・ヒーロー含む4曲)やヒット洋楽のカバーを詰め込んだベスト盤的な要素ももちろんありますが、年間チャート1位にまで、押し上げるには、やはり、その他のアルバムオリジナル楽曲のクオリティの高さがあったからこそではないでしょうか。
そして、その1曲が「D2D」です。作曲は、和泉常寛、編曲は新川博で、同時期に活躍しており、現在、和ものライトメロウやシティポップのアーチストとして、再評価されている「1986オメガトライブ」の楽曲と同じ制作陣であることから、この曲をシティポップと言っても何ら違和感はありません。
この曲が、海外において、アイドル歌謡ではなく、シティポップの文脈で評価されて、人気に火が付き、それが、日本に逆輸入されるようなことが起きないか夢想していますが、当然、それに足り得る極めて高いポテンシャルを秘めた楽曲です。
コメント