私的名画① 「ルパン三世カリオストロの城」

名盤

 この1979年公開の宮崎駿監督作品の「ルパン三世カリオストロの城」を私的な名画として紹介するには、まずもって、無理がありました。日本のアニメーション映画のみならず、日本のエンターテインメント映画を代表する傑作であり、ハリウッドも目標とした作品です。

 この作品の桁違いの面白さについては、もはや、あらためて評するつもりはありませんが、紹介させてもらいたいのは、公開当時に発売されていた映画パンフレットに載せられた宮崎駿が書き記したルパン三世の人物評価です(こちらは、Blu-ray版の解説書に転載されています。)。

 そこで宮崎駿は、ルパン三世の表出するトリッキーで人を惹きつけてやまない言動に隠された意味と理由に対して、並々ならない深い洞察をしています(例えば、ルパンの行動のエネルギーは、所有欲や名声欲などとは決して違い、人間を窒息させる社会のからくりへの怒りであるが、もはや、そういった大義名分や目的からさえも自由である等)。しかし、このルパン三世像は、宮崎駿自身がこの作品を創作するにあたり、ルパン三世に対して施した多層的で、奥深い魅力に溢れた人物像そのものであり、この人物造形こそが、実はこの作品を傑作たらしめた最大の理由だと言えるでしょう。

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